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本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

マクロン大統領就任演説(予想)

201758日 私は800万人の前で次のようなスピーチを行った。

大統領就任スピーチなのだから、普通に考えれば歴史に残ると思う。

 

最初に言わせて欲しい。

従妹のキャサリン、ありがとう。

私は彼女と幼いころ兄妹のようにオクラホマの森林で遊んだ。

あの森林は未来の子供たちに絶対に引き継がれなくてはならない。

俊敏な雌鹿、アライグマの親子、そして美しいニジマスの群れ。

私は地球温暖化対策を推進する。

約束しよう。

オクラホマの森林だけは守る。

アラスカのことは知らない。

彼女と最初のキスをした洞穴の場所は教えない。

あそこに刻んだ誓いの言葉を知られたくないから。

知られたらスキャンダルになるから。

私とキャサリンは貧しい家庭に育った。

貨物列車の中継地点としてしか存在意義のない小さな町で、私の父は釣具屋を、彼女の家は輸入雑貨店を経営していた。

生活必需品が不足している町で娯楽品や高級品を売っても売れない。

これが私の経済政策の原点となっている。

売れるものを売れ。

私は確信している。

19世紀後半に描かれたルーベンスの模写は、オリジナルよりも価値がなく、ましてや牛乳よりも優先順位は低い。

キャサリンは牛乳が苦手だった。

チーズもヨーグルトも苦手だった・

私は卵の黄身は好きだったが、白身は苦手だった。

約束しよう。

私はこれからも白身は食べない。

私は自分が残した白身を国民に分け与えようと思う。

もちろん強制はしない。

私は国民に、卵の白身を食べるか否かについての選択の自由を保障する。

ただし、黄身は私も食べる。

キャサリンは美しい娘に成長していった。

ジョーという町の不良が彼女に言い寄ってきた。

私はある晩、ジョーがひとりで家に帰るところを背後から襲った

これが私の治安問題対策の原点となっている。

私はナイフを用いず、バットで殴った。

最低限の軍事力行使。

そうして、翌朝、キャサリンにこのことを得意げに伝えた。

広報戦略である。

ジョーは全治3週間の怪我を負ったが、退院後、私に復讐した。

この傷がその時のものだ。

奴はナイフを使い、右腿が3センチほどえぐれてしまった。

最初のうち、キャサリンは毎日見舞いに来てくれた。

しかし、だんだん回数が減ってきた。

退院後、私はキャサリンジョーとつきあっていることを知った。

私は隣町のギャングに金を払って、ジョーを痛めつけてもらった。

奴は町から出て行った。

国際紛争においても、私は同様の手法をとるであろう。

キャサリンは私に怯えるようになった。

私は、ジョーをギャングに襲わせたのはトムだと言い張った。

あの時、私は一国の指導者になるために必要な非情さを身につけた。

私は学業優秀だったため、奨学金をうけ、町から500キロ離れた地方都市にあるハイスクールに入学することになった。

別れまでの2週間、私はキャサリンにしつこく付きまとった。

私は、彼女がレジをしている時を見計らって輸入雑貨店に入り、婚約指輪を購入し、その場で彼女に手渡した。

内需拡大である。

彼女はイエスともノーとも言わなかったが、彼女が将来の保険的な存在になることを私は確信していた。

都会で失敗しても、町に帰れば彼女がいる。

医療保障制度のようなものだ。

私はハイスクールで都会生活を享受した。

地方よりも都会。

これが私の原点となっている。

今後、マスコミや抵抗勢力が当時の私の行動を暴き、大統領としての資質を問うであろうから、先手をうって告白しておこう。

私は年増女からマリファナを教わり、コカインに浸かり、LSDでトリップし、学生寮3階から飛び降りた。

品行方正だったとは言いがたい。

でも、まあいいじゃないか。

これが、私の教育制度に対する基本的なスタンスである。

私は夏休み、キャサリンを呼び寄せた。

彼女は産まれて初めてみる都会に眼を見張り、そこに暮らしているという理由だけで、私のことを賞賛の目で眺めるようになった。

私はこの時、自分のカリスマ性を自覚した。

そして、その機会を逃さなかった。

私は当時から時勢を読むことができたのである。

その一方、都会の女を見慣れた私には、キャサリンが田舎くさく感じられ、彼女と一緒にいるところを友人に見られるのが恥ずかしかった。

私はまとまった金を彼女に渡して田舎に返した。

地域間格差の是正である。

キャサリンに対する福祉政策だったといってもよいかもしれない。

キャサリン

私はいまこうやって大統領として全国民にスピーチをしている。

しかし、なにを話してもお前との思い出に結びついてしまう。

実を言うとキャサリン、私は先ほど諜報機関に指示を出し、いま君がどのように暮らしているのか調査させた。

権力の乱用であることはわかっている。

あの町でジョーと一緒に文房具屋を開いているそうだね。

輸入雑貨品店よりはましだ。

でも、近いうちにジョーはどこかに消えてもらうことになる。

キャサリン

メイドではなくファーストレディーとしてワシントンに来てくれないかい?

大統領になってやっとわかったのだけれど、私にはお前が必要なようだ。

明日から、君の町とワシントンを結ぶ高速道路の建設に着手しようと思う。

交通網の整備だ。

キャサリン

私は大統領になっても、「国家」ではなく、あくまで「個人の幸福」を大事にしていきたいと思っている。

わかるよね。

神の祝福を。