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本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

ザ・シャウト物語1

ジェフ

そう、すべてはモビーの部屋で始まったんだ。

奴は高校生一年にしては異常に早熟でね、ほら、よくロック名盤百選みたいな本あるだろ、あいつは金持ちのボンボンだったから、そういうのを全部聴き込んでいた。

で、俺はあいつにフーだのドアーズだのトーキングヘッズだのを聴かされたわけなんだけど、結局のところはビートルズで決まりだったね。

いまにして思うと不思議なんだけど、モビーはレットイットビーばかりかけていた。

俺は断然、ハードデイズナイトだったんだけどね。

そんなこんなで、あいつは、当然のごとくギターを買った。

ストラト

でも、当時の俺の耳でも、モビーは駄目だとわかったよ。

事実、貸してもらったら、あっという間に追い抜いこしてしまったんだけどさ。

で、ここがモビーのいいところなんだけど、奴はあっけなくギターをあきらめて、ベースに持ち替えたんだ。

ギターは俺にくれた。

それから俺たちは奴の部屋でセッションを始めた。

と言っても、ピストルズの百分の一くらいしかテクニックがないからさ。

そう、ボーカルは一応、モビーが担当していた。

そもそも曲になってないんだから、ボーカルといってよいのかわからなかったけどな。

奴は傾倒していた太宰治を怒鳴りながら朗読していることもあった。

ジム・モリソン気取りだったんだよ。

でも、楽しかったね。

俺は自分がギターを弾けるんじゃないかと思い始めた。

でも、アンダーグラウンド路線まっしぐらというのもつまらないと思ってね、ひたすらジョージ・ハリソンをコピーし始めた。

センスいいだろ。

キースでも、ジミー・ペイジでもなく、ジョージだ。

俺は「曲」を弾きたいと思っていた。

「ギタリスト」には興味がなかった。

今じゃすっかりギタリストだけどね。

で、曲さえよければ、モビーがベースでも、それなりのバンドが組めそうな気がしてきた。

もちろん、モビーは俺の師だったわけだから、バンドから外すなんてことは考えなかったよ。

というわけで、メンバー探しだ。

続く