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本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

スマホで職員室に電話しました

決められない

特別お題「おもいでのケータイ」

僕が中学二年生だった時のことです。

隣のクラスの担任は、臙脂のジャージがよく似合う、とっても綺麗な先生でした。

時々、廊下ですれ違うと、原田君、チャックが開いてるわよ、なんて自然体で言ってくれる裏表のない性格も素敵でした。

僕は二年一組の集合写真を入手し、彼女の顔だけトリミングしてスマホの壁紙に設定し、時々眺めては胸をときめかせていました(これって犯罪じゃないですよね?犯罪なら今すぐ走って交番に出頭します)。

しかし、ある日、その壁紙を親友の中田代助に盗み見されてしまったのです。

「お前、大谷先生、好きなんだろ」

「壁紙、見りゃわかるだろ」

「集合写真からトリミングしてるから、画像が粗くて誰だかわからないよ」

「じゃあ、なんでこういう話題になってるんだよ」

「ヒエッヒエッ。俺にはわかるの。結婚したいんだろ」

「そんなわけないだろ」

「ちょっと、お前の住所録、見せろよ」

「嫌だよ」

「いいから見せろって。あれ?お前、自宅と塾と山本っていう奴しか登録してないじゃん。わかった。山本って、大谷先生の偽名だろ。俺、これからかけちゃうもんね」

『はい、山本商事でございます』

「なんだ、これ、お前のオヤジの勤め先じゃん」

「そうだよ」

「お前、ちょっと世界狭すぎないか。わかった。これから、職員室に電話かけてやる」

中田は勝手に発信して、僕にスマホを押し付けました。

「はい。雪原中学校、大谷です」

「あ、先生ですか。えーと、二年二組の原田です」

「原田君?どうしたの?菅原先生に替わろうか?」

「いや、大谷先生にお話があるんです」

「どうしたの?」

「中田の悪ノリに困ってるんです」

「代助君?」

「そうです。あと。」

「あと?」

「結婚して下さい」

終わり

 

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