本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

世紀の駄句を添削する

お題「ここで一句」

私は山梨の農村で俳句教室を開いて40年になる。

近くに小川が流れ、山桜の季節などはまさに桃源郷の如しである。

小規模な教室ではあるが、山城昭介や田路正雄などの逸材を世に送り出すことができたことは、大きな誇りとなっている。

だが、それにもまして、非凡な才能を持たずとも実直に俳句と向き合う若者たちの手助けをできることは大きな喜びとなっている。

しかし、先日、門をくぐってきた田山という青年には、正直なところ手を焼いている。

才能がなさすぎるのだ。

先日、早春の季語「猫柳」という題を出してみたところ、このような句を詠んできた。

テイク1

ちびまる子 の次にやってる サザエさん

私はまず、お題の「猫柳」が含まれていないことを指摘した。

テイク2

ちびまる子 の次にやってる 猫柳

私は「ちびまる子」に固着しないほうがよいのではないかとアドバイスした。

テイク3

サザエさん 柳猫は 愉快だな

私はまず「柳猫」ではなく「猫柳」であり、かつ、中の句が字足らずであることを指摘した。

テイク4

サザエさん 猫柳はあ 愉快だな

私は帳尻合わせミエミエの「猫柳は」を不快に感じ、田山を叱責した。

テイク5

猫柳 サザエさんはあ 愉快だな

私は中の句の「」について、「まだわからんのか!」と激昂した。

テイク6

猫柳 お魚くわえて サザエさん

突然よくなった。

教師冥利につきるとはこのことだ。