本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

星野源に声優をやってほしいアニメ(リマスター版)

いたアニメの脚本です。

これまで本ブログに2回掲載したのですが全くリアクションがないので、文字色を青地にしたリマスター版を製作しました。センスのない中吊り広告みたいで不本意ですが、このくらいやらないとAmazon 注目されていないアニメの脚本部門第1位は取れないと腹をくくりました。

読者からの感想

「泣いた。こんなに泣いたのは『一杯かけそば』以来です」「思わず友達に勧めてしまいました。最高だわよと」「おかげで100万円貯まりました」

 普通のフォントバージョンはこちらから

http://honya-taisyou.hatenablog.com/entry/2017/02/07/225044

 『君のあとを追う僕からの手紙』

声優 啓太はできれば星野源、結衣はできれば若い頃の若尾文子 

シーン1

5月6日

舞台は山口県。啓太と結衣は高校3年生。結衣は東京の大学に行く予定

啓太 東京、危なくないか?

結衣 なんで?

啓太 芸能人とかたくさんいるぞ。

結衣 …。

啓太 俺、オヤジに、金ないから岡山より東の大学には行かせられないって言われた。

結衣 …。

啓太 岡山より西にしろよ。

結衣 ごめんね。啓太が結衣のこと心配してくれているのはよくわかるけど、なんだか我田引水的なアドバイスに聞こえるんだ。

啓太 俺はただ…。

結衣 私が好きなんでしょ?

啓太 俺には自分の気持ちがわからないんだ。

(啓太、大の字になり青空を見上げる)

結衣 自分の気持ちがわからない自分ってなんなんだろうね?

啓太 「自我」かな?

結衣 違うと思う。

啓太 …。

結衣 啓太さあ、青空は自分が青いことを知っていると思う?

啓太 俺、自分のことで精一杯だから考える余裕もない。

結衣 じゃあ、私のことは?

啓太 すごく考えてる。

結衣 それって矛盾してない?

啓太 思春期だから仕方ないよ。

結衣 そういうの、ちょっと気持ち悪いな。第一、私たちつきあってるわけじゃないし。

啓太 …。

結衣 ごめん。今の言い方キツかったね。

啓太 正直、傷ついた。立ち直れないかも。

結衣 だから謝ったじゃん。ごめんなさい。

啓太 結衣に謝られるとなんだか妙な気分だな。

結衣 なんで?

啓太 なんだか深い仲って感じがする。

シーン2

6月1日

教室の黒板に啓太と結衣の相合傘が書かれている。その横にはとてもじゃないがアニメ化できないような落書き。放課後。啓太と結衣はそれを無言で見つめている。

結衣 ひどすぎる。

啓太 …。

結衣 先生のところに行こう。

啓太 写真とってからにしない?

結衣 なんで?

啓太 結衣が嫌なら撮らない。

結衣 消そう。すぐ消そう。

(黒板消しを手に取る。啓太にも渡す)

啓太 消す前にちょっといいかな?

結衣 どうして?

啓太 脳裏に焼き付けておきたいんだ。

結衣 …。

啓太 覚えたよ。

(啓太、突然、結衣を黒板に押し付けてキスする)

結衣 バカ。啓太って本当にバカ!それ、必ず消しといてね。

(結衣、泣きながら教室を飛び出す。結衣の背中には黒板の相合傘が反転して写っている。啓太、ブレザーのポケットからスマホを取り出だす。しばらくそれを眺めた後、結局ポケットにしまい、黒板を拭き始める)

シーン3

6月15日

職員室に啓太と結衣が呼びつけられている。

教師 ねえ、私こんなことしたくないんだけどね、あんなものすごい落書きが毎日続くと、私も職務上、あなた達が潔白であること、確認しなくちゃいけないの。どう?まさかあなた達、あんなことしていないわよね?先生、あなた達のこと信じていいのよね?

結衣 大丈夫です。啓太君とは手をつないだことすらないし、第一つきあってません。

教師 啓太君は?

啓太 黒板に書いてあるようなことはしていません。

教師 じゃあ、なにしたの?

啓太 黒板ドンです。

結衣 啓太!

教師 啓太君、黒板ドンってなに?

啓太 えーと、

結衣 黒板にぶつかることです。

教師 私は啓太君にきいてるんです。

結衣 (啓太に小声で)黒板にぶつかること。

教師 結衣さんは黙ってなさい!

啓太 (決然と)黒板を叩くことによって、裏にいるシロアリを落とすことです。

教師 じゃあ、なんで啓太君は黒板の裏にシロアリがいることがわかったの?

啓太 はみ出ていたから。

教師 結衣さん、あなたもシロアリ落としたの?

結衣 そ、そうです。

教師 あなた達、なんかおかしいわね。でも、まあいいわ。少なくとも黒板に書いてあるようなことはしてないみたいね。わかったわ。帰ってよし!

シーン4

6月15日

結衣 先生、「帰ってよし!」だって(噴出す)。でも私、啓太のこと見直したわ。シロアリにはビックリした。

啓太 (得意げな表情で)キスのことばれたくなかったからね。

結衣 (表情が一転して曇る)ああいうの、もう二度としないでほしい。

啓太 …。

結衣 啓太の気持ちはわかってるよ。

啓太 …。

結衣 でもね、本当のことを言うとね、私、東京の大学に行くといっても、正確には東京の「大学病院」に行くってことなの。

啓太 え?

結衣 私ね、男になる病気になっちゃったの…。

啓太 は?

結衣 …。

啓太 (おずおずと)よくアニメとかである男と女がひっくり返っちゃうようなやつ?

結衣 違う。ただ、男になるの。

啓太 …。

結衣 …。

啓太 で、どうなるの?

結衣 死ぬの。

啓太 死ぬ⁈

結衣 うん。男になって3ヵ月後に死ぬの。

啓太 そんな。

結衣 普通に死ぬの。

啓太 …。

結衣 …。

啓太 俺、なんて言っていいのかわからない。

結衣 (下を向きうなずく)

啓太 (長い沈黙の後)俺、シロアリの時みたいに頓知をきかせて結衣を救ってやる。その病気、なんていうんだ?

結衣 啓太…。

啓太 いいからすぐ教えてくれ。

結衣 HIKP。日本語では言いたくない。

啓太 HIKP。わかった。じゃあな。俺、結衣を救うためなら、なんでもする。なんでもしてやるからな。

結衣 …。

啓太 (あてもなく走り始める)

結衣 啓太、待って。

啓太 なんだ?

結衣 ドンキスして。

啓太 ここ(堤防)、ドンするものないぞ。

結衣 野原。野原にドンして。

(2人、堤防で抱き合う)

シーン5

8月18日

(画面にはシーン1からシーン4までの名場面が映し出され、啓太の手紙が朗読される)

結衣へ

結衣さあ、俺、結局、お前のこと治す方法わからなかった。でもな、話をしたら、親父が東京に行く金を出してくれたんだ。土曜日に行くよ。待ってろよ。俺、必ずお前を助けるから。新幹線の中でいい方法を思いつくかもしれないぞ(笑)とにかく元気出すんだぞ。

最終回

8月23日

(病室で啓太からの手紙を読む結衣。おそらく何度も読みかえしている。啓太、病室に飛び込んでくる)

啓太 結衣!

結衣 啓太!

(長い間、見つめあう二人)

結衣 マジかよ。マジで来たのかよ。

(長い間、見つめあう二人)

結衣 電話くれたら、少しは…。

(結衣、下を向き自分が履く男用サンダルを眺める)

啓太 結衣。はっきり言うよ。俺、なんて言ったらいいかわからない。ごめん。俺、結衣を治す方法どころか、結衣になんて言っていいのかすらわからない。

結衣(下を向いて)そうだよな。なんて言っていいかわからないよな。

(長い間、見つめあう二人)

結衣 握手でもするか?それとも(自嘲気味に)壁ドンでもしようか?俺たちがやったら相撲になっちゃうけど。

啓太 (突然、結衣を病室の壁に押し付けキスする)

結衣 ひげ、剃っておけばよかった…。

啓太 お前、あと何ヶ月だ?

結衣(しばらく間をおいて)2週間。

啓太 …。

結衣 …。

啓太 俺、これからすぐ山口に帰るよ。今から猛勉強すれば、もしかすると来春、医学部に入れるかもしれない。そしたら、お前みたいな奴、救えるかもしれない。

結衣(くしゃくしゃな笑顔で)もう1回、ドンできる?

(病室から見える青空。蝉の声。ジ・エンド)