本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

La main

La main  

Mへ

 

君の手はちょっと僕を驚かせた。

 

僕を驚かせた君の手は、君の髪の中に隠れ、それから洗面器で水をすくったりしていた。

 

これから始まる朝かもしれない。

これから始まる昼かもしれない。

これから始まる夜かもしれない。

 

そんなことを考えながら、僕は君の手に似た星を探して、君の手のかたちをした森を歩いた。

ちょうど爪のところあたりを慎重に歩いた。

 

親指から人差し指へ。人差し指から中指へ。

君がペンをくるくるまわすので、僕は机の上に降り立った。

 

目を近づけてみたり、遠ざけてみたり。

読み取れたのはこんなこと。

 

朝刊ではない。夕刊でもない。どうやらこれは号外だ。

 

君の手はちょっと僕を驚かせた。

 

そんな君の手は、君の言葉をそっと支えて、それから君の思想を優しく撫でたりしている。

 

夜に贈られた朝かもしれない。

朝に贈られた昼かもしれない。

昼に贈られた夜かもしれない。

 

星の明るい夜、僕を驚かせた君の手は、君の手のかたちをした森の中に号外を撒いていた。

 

目を近づけてみたり、遠ざけてみたり。

僕に読み取れたことはこんなことだ。