本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

水曜日の朝に

昨晩は夜勤だったが、今朝は通常どおりに出勤しなくてはならない。

私はこのような朝こそ、少し早めに起きて、ゆったりとした時間を過ごすことにしている。

どうせ寝不足なのだから。

私のことを慮ってか、水曜の朝は彼女も私と一緒に起床する。

一晩寝かせたフレンチトーストと長野の友人から送られてきたソーセージ。

それにレモンドレッシングのサラダと紅茶。

ステレオからはモーツァルトのホルン協奏曲が少し大きめの音量で流れている。

今日は早いんでしょ?

そうだね。ただ、少し買い物をしてくるかもしれない。

なに買うの?

手袋。落としちゃったんだ。

もうすぐ春よ。私、昨日、とってもかわいいウグイス見ちゃった。

そうか。

わたし、ここが好き。

え?

モーツァルト。転調したところ。

気づかなかった。今度、注意してみる。

実を言うと僕はフレンチトーストを「フレンチ」というほどシャレたものだとは考えていない。

出来によってはコーラと食べる方がよい気もする。

君がウグイス見たのはどの辺?

高野さんのお宅を曲がったところ。

ああ、梅の木ね。

そう。花をつついてた。

今日もいるかな?

疲れてるんだから、あんまりキョロキョロしないて歩いてね。

電車に乗ってから、キョロキョロの語源を考えそうになったが、寝不足だと大したアイデアも浮かぶまいと思い直して、春めいた青空をぼんやり眺めた。

確かに手袋は来シーズンだな。

挙動不審のキョかな。

自信はない。