本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

どうしても鈴木奈穂子さんに読んでほしい童話

カロンちゃんは宇宙の果てに住んでいます。

食べ物は「宇宙」。

カロンちゃんは体に似合わず大食いだから、宇宙はどんどん小さくなっていきました。

そうしてある日、マカロンちゃんの口の中に「地球」が飛び込んできました。

他の星よりも美味しかったので、マカロンちゃんはすぐに飲み込まず、しばらく舌の上で転がしてみました。

すると水沢照久という青年がピョンとマカロンちゃんの鼻の上に飛び乗って来ました。

カロンちゃんはびっくりして、ごっくんと地球を飲み込んでしまいました。

「ああ、君は僕の大事なものすべてを飲み込んでしまった!」

水沢照久は絶叫しました。

「悪気はなかったのよ」

カロンは答えました。

カロンが声を発したのは本当に久しぶりのことでした。

神様が宇宙を作った時に2〜3分立ち話をしただけで、それ以降は何兆年も何兆光年も話をしたことがなかったのです。

カロンちゃんは自分の声の美しさに息を呑みました。

そうして、息を飲むたびに宇宙は小さくなっていきました。

カロンちゃんの声はあたかもシンフォニーのように宇宙に響き渡りました。

水沢照久は、宇宙の終わる場所にこんな美しい音楽が流れているだなんて誰が想像しただろうかと考えながら、最後の「人間」として息を引き取りました。