本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

どうしても小郷知子さんに読んでほしい童話

「恋には空気感がありません」

先生は言いました。

源太が隣の花ちゃんに囁きました。

「空気感ってなんだ?」

花ちゃんもよくわからなかったので、首を傾げました。

「皆さんにこれ以上恋の話をしても仕方ないけれど、恋は悲しみでできた結晶のようなものなのです」

「お前は雪か」

と源太は独りごとを言いました。

学校からの帰り道、源太は花ちゃんに言いました。

「今日の先生、おかしくなかったか?」

「うん、私もそう思う」

そうして2人は近くの小山に遊びにいきました。

そこでは鹿がこんなことを言っていました。

「恋、それは取り外し可能な直線」

「お前はパナソニックか」

と源太は独り言を言いました。

うさぎは

「恋、それは机に置かれたお地蔵さん」

イワナ

「恋、それは隠し撮りされた時空の影」

源太は言いました。

「もういい。うんざりだ。今日は家に帰ってマンガでも読もう」

源太が家に帰ると、おばあさんがいたので聞きました。

「今日はみんな恋の話ばっかり。わけわかんなかった」

おばあさんは

「あらあら、それは童話には向かない話ね」

と言って別の童話を話してくれました。

こんな感じです。

先生は言いました。

「べったら山に行ったら鬼に会えるわよ」

子供達は列をなしてべったら山に向かいました。それはあたかも取り外し可能な直線のようでした。べったら山には鬼の空気感はありませんでした。

先生は言いました。

「鬼は結晶のようなもの。だからよーく探してね」

隠し撮りされた時空の影になったので、みんなは山を降りました。

教室に帰るとお地蔵さんが机の上に置かれていました。

めでたし、めでたし。

おばあさんが話し終えた時、源太はすっかり眠り込んでいました。おばあさんは源太にそっと毛布をかけてあげました。

どこかで寝ぼけたカラスがカーと鳴いています。

その時、花ちゃんはなかなか眠れず、目をぱっちり開いて天井を見つめていました。

終わり