本屋大賞はとってない

本屋大賞はとっていません

先制攻撃

中村代助シリーズ4

代助のパートナーの由紀子さんはポッチャリ系のなんとも愛くるしい方です。

それに対して代助はどちらかといえば貧相でオタクっぽい男。

つまり、釣り合いが取れていない。

僕は由紀子さんに聞きました。

「あいつのどこが良かったの?」

以下は由紀子さんの回答です。

確かに代助の外観は悪い。

しかも変人。

しかもその「変な点」のほとんどは私を苛立たせる。

でも、彼と一緒にいると、どんな「地元の不良」が来ても大丈夫という安心感がある。

彼は私と街を歩く時、なんともいえない精悍な顔つきになる。

「地元の不良」に絡まれないか常に目を光らせているのだ。

彼は言う。

もし「地元の不良」が近寄って来たら、そいつが口をきく前に容赦なく痛めつけてやる。

先制攻撃してやる。

これをみてごらん。

彼は私に自分のスマホを見せました。

そうして、素早く手編みのスマホカバーを取り払い、スマホの角を軽く揺さぶりました。

もし「地元の不良」が来たら、この角を思い切りそいつの眼にぶつけてやる。

そういえば、代助は夜の街に出る時、絶対に私と手をつながなかった。

いつもポケットに手を入れていた。

そのポケットの中には「地元の不良」を撃退するためのスマホや缶の蓋や100円玉が入っていた。

夜の街を歩く代助はあたかも獲物を狙う黒豹のようだ。

刑務所行きを恐れない危険な男だ。

そんな男を愛さずにいられる?

以上。

僕はただただ彼らが「地元の不良」と遭遇しないことを祈るばかりである。